VOICES

附属愛が紡ぐ校歌

佐藤 崇(さとう たかし)さん

宮城教育大学附属小学校に1987年4月に赴任して以来、マドリッド日本人学校に3年間抜けることはありましたが、教諭・教頭として17年、副校長として2年。教師生活38年間の内、実に19年を附属小学校にお世話になりました。教師生活の半分にあたります。

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附属小学校では、何事も意欲的に取り組む子供たちと教育に真摯に向き合う先生方のお陰で、とても充実した19年間を過ごすことができました。その関係性に支えられ、38年の教職を大過なく終えることができました。退職後もその関わりは、ありがたいことに続いていて、私の正に宝物です。コロナ禍で平常の教育活動が行えない状況下、附属愛にあふれるエピソードが生まれましたので紹介します。

宮教大附属小の卒業生 永富さおりさん(H12年卒)から、次のようなメッセージが入りました。

「宮城は緊急事態宣言が解除されたけれど、子供たちはまだオンライン授業や時間差登校、音楽の授業はないし、校歌すら歌えない状況ですよね。そこで、附属小学校の校歌を、テレワークのような形で録音し、子供たちにお届けできたら、と考えております。」

母校愛と素晴らしいアイディアに満ちたメッセージでした。早速、プロの演奏者として活躍している卒業生に声を掛けてくださり、5名のオンラインアンサンブルができあがりました。メンバーは次の通りです。

  • 後藤 薫子(H11卒):バイオリン 
  • 永富 さおり(H12卒):チェロ
  • 熊坂 美奈(H7卒):ピアノ
  • 會田 瑞樹(H13卒):ビブラホン
  • 佐藤 崇:ホルン

熊坂さんは、ドイツから参加です。それぞれが、校歌の指定のテンポ♩=108、で演奏したわけですが、微妙なテンポのズレ等があって、アンサンブルは難しかったです。そこは編集の原田遼太郎さん(コントラバス奏者)が、きっちりと合わせてくれました。そして5月26日に、企画・演奏の永富さおりさんと、編集してくださった原田さん、そして私とで、附属小学校に演奏データを届けてきました。そして7月16日の全校合唱の時間に、この演奏が全校の子供たちに紹介され、その時の様子が附属小学校ブログにアップされました。そこには次のような記述が。

「感動した。」と話す子がいたり、拍手が起こるクラスもあったりました。

子供たちの心に伝わるものがあったのかなと、とてもうれしくなりました。永富さおりさんの声掛けでできたアンサンブル、楽しかった。また、何かやりたいなあ。

【2024.03】

佐藤 崇(さとう たかし)さんプロフィール

宮城教育大学音楽科非常勤講師。同附属小学校教諭、教頭、副校長として、19年間携わる。