「公開研究会」とは?
- 支援レポート
「今年度の公開研究会は〜・・・」と、附属小に子供を通わせている保護者は、幾度となく目にし、耳にし、わかってるようで、わかっていない?「公開研究会」。
私たちいずみ後援会も「公開研究会を支援をしています!」とレポート等でご報告していますが、「そもそも、公開研究会ってなに?」ということで、あらためて保護者目線でその歴史を調べてみました。
今年150周年を迎える宮城教育大学附属小学校。そのはじまりは、明治初期の「官立宮城師範学校附属小学校」まで遡ります。その頃の附属小では、すでに先駆的な教育実践※が行われており、その影響は宮城県内の教育界に及んでいたようです。(※教育実践とは「教育の理論や原則を実際の学校や教室で実践し、子供たちの学習や成長を促進するための活動や方法」)
大正時代になると、教育実践をまとめた「研究録」が発刊され、「公開研究会」も開催されていました。その後、女子師範学校も研究会を開始し、宮城県内の教育における先駆的な役割を果たしました。
(なるほど、「公開研究会」が始まったのは大正時代なのですね・・・!)
昭和初期には「研究紀要」が刊行され、活発に教育実践の動向が示されていました。しかし、昭和16年以降は戦時色が強まり、国民学校の改革が行われ、教育研究活動は中断されました。
第二次大戦後には、「宮城県小学校研究発表大会」の開催や「研究紀要」の刊行が再開され、先導的な実践研究が継続される形で再出発しました。
昭和22年〜34年にかけて複数あった附属小の校舎が統合されたのちは、全国的な視野に立った先導的実践研究を行い、教育界において重要な役割を果たしつつ現在に至っているようです。
そして、公開研究会では「研究主題」が掲げられています。その時代が必要とする「初等教育」を行うため、附属小の先生方が挑む実践のテーマ。昭和37年から現在までの研究主題は下記のとおりです。
- 昭和37〜40年:「自主的な子どもを育てる」
- 昭和41〜43年:「教材とその指導に関する実践的研究」
- 昭和44〜49年:「ひとりひとりを伸ばす学習指導」
- 昭和50〜54年:「授業・行事、その探究と創造」
- 昭和55〜平成2年:「子どもが確かに分かるためのよい授業の探究と創造」
- 平成3〜10年:「自己を豊かに創造する」
- 平成11〜18年:「確かな学びをひらく」
- 平成19〜25年:「子どもが確かに分かる授業の探究と創造」
- 平成26〜30年:「子供が主体的に学ぶ授業/子供が問いを持ち、追究し続ける授業〜主体的に学ぶ姿を求めて〜」
- 令和元〜4年:「学校教育目標「体も心もたくましく、しかも、しなやかな子供」を目指して〜本質に迫る授業を通して〜」
- 令和5年〜:「自ら学びを切り拓く〜各教科における探求の学び〜」
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附属小学校が持つ3つの任務には、「児童の心身の発達に応じて、初等普通教育を行うこと」、「教育の理論および実際について、実践研究を行うこと」、「教育実習生について、その指導を行うこと」があります。
そのうちの1つ、「教育の理論および実際について、実践研究を行うこと」の発表の場が、「公開研究会」なのですね。
「公開研究会」は「先生方の学会」に相当するイベントと理解するとわかりやすいと感じます。業界や学術界でのカンファレンスやシンポジウム、学術大会です。特定のテーマや分野に関心を持つ専門家や関係者が集まって、最新の研究成果や技術動向について発表し議論を行うため、参加者は自身の研究について情報を共有し、異なる視点やアイデアを得ることができ、業界や学術界全体の発展や進歩に貢献する重要な場となっているという。
「そもそも、公開研究会ってなに?」の答えは、
「附属小の子供たちが受けている日々の授業や活動は、先生方が情熱を注いで挑んでいる実践研究である。その発表と議論の場が公開研究会であり、そこから宮城県の、ひいては日本の教育の発展や進歩がなされる。」
ということでしょうか。
ちなみに、昨年度の公開研究会は、コロナ禍が明けて久しぶりの完全来校参加型による実施となり、530名もの参会者を迎え大盛況でした。一般申込者の内訳は教職員8割、学生1割、その他1割。さらに教職員の地域内訳は宮城県4割、他県6割。文部科学省の研究開発校として、全国からも注目度が高いことが伺えます。
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あらためて、そのご支援を担ってくださっている皆さまに心より感謝申し上げます。
今年度も「第1回:11月15日」、「第2回:1月31日」に公開研究会が開催されます。いずみ後援会へのご支援は、先生方が創意工夫して行う授業の教材購入などに使用され、子供たちが享受する豊かな学びへとダイレクトに繋がっていきます。
ご寄付は本ウェブサイトにて、どなたからでも随時受け付けております。附属小OB・OGの先生方、同窓生の皆さま、地域の皆さま、先生という職業を応援してくださる皆さま、どうか、あたたかいご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
(参考資料:「私たちの学校の歩み〜資料編〜」「実践記録集 もくせい」等)